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堀北真希の10年 「なかなかうまくいかない。たまにうまくいったなと感じます」

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●シネマカフェ cinemacafe.net より
【インタビュー】堀北真希の10年 「なかなかうまくいかない。たまにうまくいったなと感じます」

全員とは言わないが「この10年を振り返って」という問いをぶつけると、多くの人からは「あっという間だった」「気が付いたら10年経っていました」といった答えが返ってくる。

堀北真希は違った。あっさりと「私にとってはこの10年は長かったです」と口にした。彼女がデビューしたのは11年前。10年はキャリアのおよそ9割を占める歳月なのだから「長かった」という答えは決して不思議ではないのだが、彼女の答えのあまりの迷いのなさにこちらがたじろいでしまう。

「デビューした時は中学生でしたからね。中学を卒業して、高校を卒業して、成人になって…。いろいろありました」。柔らかい笑みを浮かべて彼女はそう付け加えた。

映画『蜩ノ記(ひぐらしのき)』はある事件の罪を問われ、10年後に切腹することを申し付けられた武士が、静かに己の運命を受け入れ、父として、夫として、ひとりの男として、生きる姿を描いた時代劇。堀北さんは、切腹の日まで藩の歴史である「家譜」の編纂に日々を費やす戸田秋谷(役所広司)の娘で、父の死を覚悟した上で気丈に生きる薫を演じている。

メガホンを握ったのは黒澤明監督の下で長年にわたり助監督を務めてきた小泉堯史監督。スタッフにも黒澤組の屋台骨を担ったベテランが名を連ねるが、日本映画界の貴重な財産とも言えるチームでの仕事は、堀北さんに多くの発見をもたらしたようだ。

「撮影に入る前にいつも以上に多くの準備をした気がします。舞や所作の稽古もそうだし、衣裳の着物やカツラも、実際に撮影をするわけでないのに、本番と全く同じように着用して映りを見て検討して、また別の日にもう一度、衣裳合わせをしたりしました。監督とも撮影に入る前にたくさんお話をさせていただきました。撮影の前の準備の時間がすごく濃かったです」。

逆に撮影が始まると、拍子抜けするほど淡々と撮影は進んだ。それまでに緻密に積み上げ、準備してきたものをカメラの前で出すだけ。その差にも新鮮な驚きを覚えたという。

「ここまで準備に時間をかけるなら、撮影も同じようにじっくりと進めていくものかと思っていたんですが、始まってからはサラッと進みました。本番もほぼ一発OKで、カメラも複数で同時にいろんな角度から撮るので、何度も繰り返す必要もなく早かったですね」。

撮影前に小泉監督と話し合い、そしてクランクイン後、スムーズに撮影が進む中で、それでも強く監督から求められたのは、現代女性とは違う、江戸時代を生きる女性の奥ゆかしさ。参考文献として、当時の武家の生活や風習について書かれた本や武家に生まれた女性の一生を記した本に目を通した。

「やはり、当時は女性が積極的に自分の意見を言うことはあまりないんですよね。特に男性、目上の父親に対して気軽に自分の考えを言える環境ではない。そこは、おしとやかに気恥ずかしさを持って演じてほしいと言われました。庄三郎さん(岡田准一/※秋谷を監視するために藩から送りこまれた武士で、一緒に生活する中で秋谷に心酔していく)とのシーンは何度も『もっと気恥ずかしそうに!』と言われました。私としてはそうしてるつもりなんですが『もっともっと!』と(笑)」。

そんな時代の背景もあって、父がいずれは切腹せねばならないことを知りながらも哀しみを内に秘め、静かに家族を支える薫。そんな彼女が普段とは違う行動を見せるのが、父が起こした事件の当事者である、かつて藩主の側室だった松吟尼(寺島しのぶ)に会いに行くシーンだ。

「このシーンは薫が自分の思いを伝えるセリフがあったので、薫が何を思っているのかを表現できたらいいなと思っていました。薫としては、父親が不義密通の罪で切腹を命じられたというのがどうしても気になっている部分なんです。それを確認するわけですけど、そこでも決して、直接的な言葉で会話をするわけではないんです。だから、彼女が100%全てを知って納得したわけではないのかもしれないんですが、自分で行動を起こしたことで何か、腑に落ちるところがあったんではないかと思って演じました」。

10年後に腹を切ることが決められた秋谷。どれほど思いを巡らせても、現代を生きる我々が彼の心情・心境を理解することはできない。そして、そんな彼が運命を受け入れて日々を過ごす姿は静かに、強く胸を打つ。役所さんが演じた秋谷の姿は、堀北さんの目にはどのように映ったのだろうか?

「私は、一家の主であり子どもたちの父親であるからこそ、それが出来たのかな? と思います。薫や郁太郎(吉田晴登/※薫の弟)は常に父の背中を見ているわけで、父として秋谷さんはそれを分かっている。だからこそ、大事なことを教えるためにブレずに10年という歳月を過ごすことが出来たのではないかと感じました」。

冒頭で彼女のキャリアが11年前に始まったと書いたが、本作で秋谷に心酔し、やがて少しずつ薫に心惹かれていく若き武士・庄三郎を演じた岡田准一とは、まさに11年前に彼女が初めて出演し、いきなりヒロインを演じた映画『COSMIC RESCUE -The moonlight generations-』以来の共演となった。

「まず、当時の私のことを覚えているのか分からなくて…本当にただの中学生だったので(笑)。だから『お久しぶりです』と挨拶するのは変じゃないかな? 11年前の共演の説明から入った方がいいのかな? とかいろいろ考えたんですが、岡田さんは覚えてくださっていて。私の方は、本当に『子どもの時にお世話になった』という感覚だったので、(当時の思い出が)恥ずかしいとか、そういう気持ちはなかったんですけど、岡田さんは岡田さんで、当時は学校の話とかして『宿題しなきゃ』とか言ってたのに、久々に会ったら一気に大人になっててどう接していいのか分からなかったらしいです(笑)」。

そんな話を聞くと、確かに10年という歳月が、彼女にとっては非常に長い時間であったことも納得できる。とはいえ、堀北真希はまだ26歳である。中学の頃から学業と並行して女優業を行なってきたせいか「女優を自分にとって“仕事”と思うようになったのはほんの数年前からです。同級生が働き始めて、それぞれに“職業”を持つようになって、改めて『あ、私にとってはこれが仕事なんだ!』と腑に落ちました」と笑う。

その美貌は「クールビューティー」という言葉で表現され、同時にミステリアスなイメージが彼女に付随されていった。どんな役柄にも自然にスッと溶け込んでいく演技力の高さも相まって、素の彼女が何を考え、どんな壁にぶつかり、どんな葛藤を抱えて日々を生き、仕事に臨んでいるのかはスクリーンやTVの画面からはなかなか読み取ることはできない。だから、改めて訊ねた。26歳になった堀北真希にとっての女優という仕事のやりがい、面白さとは?

「なかなか…うまくいかないところですかね?」。少しだけ考え込んで、彼女はそう答えた。

「なかなかうまくいかないんですよ。うん、なかなかうまくいかない(笑)。たまに、うまくいったなって感じる時もあって、嬉しくてまた頑張ろうって思うし、うまくいかないことが多くて、じゃあ次は頑張ろうって思って…。その日、お芝居をしてみて『今日はうまくいった! 思い通りに出来た』と感じる時もあるんですけど、オンエアを見てみたら、自分が思っていたよりも全然うまくできてないこともあったりするんです(苦笑)。でも多分、ずっとうまくいってたら満足してダメになっちゃうと思うんで、そういうものなのかな? と思ってます」。

「だから、この仕事を一生続ける」という答えが続くことを期待するも、こちらのそんな思惑はあっさりと裏切られる。「女優は一生の仕事になりそうか?」という問いに、困ったように首を傾げる。

「先のことを考えるってことが全然なくて…割といつも成り行きなんですよね(笑)。このお仕事は、誰かに『この役をお願いします』と言ってもらえないと成り立たないんですよ。だから一生、自分が誰かに必要とされて生きていけるのかな? と。いまの自分には分かんないですね」。

いや、きっと誓いや意気込みなど必要ない。いまのままで、うまくいかないことに悩みつつ、目の前の仕事に打ち込んでいけば、その時、彼女は大女優になっているはずだ。

イメージ 1

(※http://www.cinemacafe.net/article/2014/10/02/26333.htmlより)

10年前・・・
2004年というと『放課後』が放送された頃ですね。


真希ちゃんがブレイクしてきたのは2005年の11月。
『ALWAYS 三丁目の夕日』ですからね。

それから・・・
そろそろ10年。

月日の流れは早いなぁ~

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